カテゴリー:特集
2015.10.30
欧州ではかねてから積極的に用いられてきた超小型車(以下、超小型モビリティ)が、日本でも2013年2月から公道での走行が可能になる新しい認定制度が始まるなど、本格的な導入プロジェクトがスタートしはじめています。
従来、多くの荷物と人とが、より速く、遠くまで快適に移動できる方向へと進化してきたクルマの世界ですが、近年の都市化による人口および交通集中によって、ちょっとした気軽な移動や駐車が可能な超小型モビリティへの期待が高まってきています。
例えば名古屋市・トヨタ車体株式会社・日本郵便株式会社の三社で構成する「超小型電気自動車 の実証実験に向けた連絡協議会」が、2015年6月から同市の中央郵便局で1人乗り超小型EVである「コムス」(トヨタ車体株式会社)による集配作業を開始しました。市販版「コムス」の最大積載量が30kg(原動機付自転車扱い)なのに対し、今回の国土交通省による「超小型モビリティ認定制度」の認定を受けた結果、軽自動車扱いに格上げされた最大積載量は60kgまで拡大。さらなる実用性向上が見込まれています。ちなみにこれは日本初の超小型モビリティが集配作業用に公道を走る実証実験となりました。
また神奈川県横浜市では「ヨコハマモビリティ"プロジェクトZERO"(YMPZ)」の一環として、日本初となる100台規模の超小型モビリティ(EV)のカーシェアリング「チョイモビ ヨコハマ」を日産自動車と横浜市が協働で進めています。
海外に目を向けると、フランスやイタリアの主要都市の例を挙げるまでもなく、駐車スペース問題、通勤時の混雑、歴史都市保全のための車両流入規制など、様々な事情から超小型モビリティに対するニーズはかねてから日本よりも高く、EV化が進む以前からすでに多くのメーカーによる様々な種類の超小型モビリティが活躍してきたという背景があります。
現在の超小型モビリティは、EVとの相性も良く、例えばフランスで税金がぐっと安くなる15kW以下の出力の電気モーターでさえ、都市部走行で最も必要とされる十分な加速力と、80km/h程度の最高速度が実現可能なだけでなく、問題視される公害問題もクリアできるため、ますます利用が増加する可能性を秘めています。
今後はさらなる都市化、人口や交通の過密化に伴い、こうした超小型モビリティの活躍する場面が増えていくことが予想されます。
SMC2015の中心に据えられた、都市と交通に関する最新技術&システムをご紹介する「ステーションコア」では、様々な超小型モビリティが活躍するシーンが展開され、屋外のトラックヤードにつながるテストコースでは、国内外の次世代モビリティを試乗できる「テストライド」のスペースを設置。新しいモビリティの楽しさや安全性などの魅力をリアルに感じていただけるようになっています。