第44回 東京モーターショー 2015

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【特集-3】2020年は、自動運転元年になるか?

カテゴリー:特集

2015.08.04

【特集-3】2020年は、自動運転元年になるか?

本年6月に閣議決定された「世界最先端IT 国家創造宣言」では、「2018 年を目途に交通事故死者数を2500人以下とし、2020年までには、世界で最も安全な道路交通社会を実現するとともに、交通渋滞を大幅に削減する」とし、そのひとつとして「車の自律系システムと車と車、道路と車との情報交換等を組み合わせ、運転支援技術の高度化を図るとともに、 実用化に向けた公道上での実証を実施し、2020年代前半には、準自動走行システム(レベル3)*1の市場化を目指す」とされている*2。本当に、近い将来日本で自動運転は現実化できるのだろうか?

本年1月、アウディは米国西海岸のカリフォルニア州シリコンバレーからネバダ州ラスベガスの家電見本市(CES*3)会場まで900キロメートルの道のりを自動運転で車を走らせた。メルセデスは、同会場にて、対面式シートでゆっくりくつろげるようになっているリビングルームのような自動運転のコンセプトカーを出品した。 またBMWは6月に、自動運転による無人駐車機能を搭載した新車両を発売すると発表した。さらに、米国ではグーグルやアップル等のIT企業が自動運転車の分野に進出すべく様々な実証実験を進めている。

自動運転では海外勢の動向が最近注目を集めているが、日本企業も決して遅れているわけではない。トヨタやホンダは、昨年9月の「第21回ITS*4世界会議デトロイト2014」に、先行車との距離確保、レーンコントロールなどの「高度運転支援システム」の公道でのデモ体験を提供。また日産は同年7月、自動運転技術の投入スケジュールを発表。 2020年までに自動運転が可能なクルマの発売を目指すという。技術立国を志向する日本企業の取り組みに大いに期待したい。

しかし自動運転は、技術的には可能であっても、実現するまでに越えなければならない課題も多い。 例えば万が一、事故が起きた場合、クルマと"運転者"のどちらに責任があるのか?保険は適用されるのか?あなたは運転席に座っている人がスマホの操作に集中していたり、後ろ向きに座っていたりするクルマが横断歩道で止まってくれたとして、その前を安心して渡れるだろうか?今後、自動運転時代に対応した法律や社会制度の整備、そして人々の信頼の獲得が必須となろう。

とは言え、自動運転車によって、交通事故が低減したり、交通渋滞が削減され環境負荷が下がったり、またお年寄りや体の不自由な方々が気軽に通院や買い物ができたり...というもっと"安全"で"自由な"移動が実現するかもしれない。

SMC2015では、自動運転のデモンストレーションや自動運転に関する国際シンポジウムを実施する。国際シンポジウムでは、日本の自動車メーカーはもちろん、社会制度や町づくりなど様々な視点を持つ有識者を国内外から招聘し、自動運転の未来について議論する予定である。

*1:国土交通省が定めた「安全運転支援・自動走行システムの定義」による
*2:参考「世界最先端IT 国家創造宣言」
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/kettei/pdf/20150630/siryou1.pdf
*3: CESは、米国ラスベガスで開催される世界最大級の家電見本市「コンシューマー・エレクトロニクス・ショー」の略
*4: ITSは、Intelligent Transport Systems(高度道路交通システム)の略